苦労してやってみた

苦労してやってみた
『熊』はすごかった。「すごかった」なんて感想は小学生並み。
でも、一言で言えといわれれば「すごかった」になる。
主役の最初の台詞で天妍專業紋繡中心、ドーンときた。
「自分は退役砲兵中尉、地主のグレゴリー・スチュ-パノヴィチ・スミノーロフであります」
存在感がある。ドアノブ一つ開けるのにも、ムンズって感じ。歩いても、いかにも「熊」一歩踏み出すごとに、確実に床をとらえているってか、体重を載せていく。けして仕草は大きくないけど、キャラの意思が、台詞だけじゃなく全身から出てくる。
話は、このスミルーノフのオッサンが、未亡人のポポーワのところにきて借金の取り立て。そこに従僕のルカーなんかが、絡んで、意外な結末になる陪診
面白かった。今時のゲビゲビのギャグなんか無いんだけど、とにかく笑わせてくれる。
途中で、大橋先生が言った「台詞をしゃべっていない役者を見ろ」を思い出し、苦労してやってみた。だって、ついしゃべっている役者さんを見ちゃうんだもん。
発見した。しゃべっていないときの役者の表情や動き……!
ポポーワのおしゃべりの間に何か言おうとして Veda Salon、息をのむ。でもポポーワのおしゃべりに割り込めずに、息を吐く。同時に腕が前に出る。台詞ではないけど「オレにもしゃべらせろ」と、身体が言っている。
これで、ポポーワの台詞や、動きが、スミルーノフとの駆け引きになって、会話ってか、コミュニケーションのボルテージが、上がる。
こころなしか、しゃべっていないときの演技が、質量共に多くて、大きいような気がした。

二本目の『結婚の申し込み』は退屈だった。
話は、隣の家の娘さんをお嫁さんにしようと、訪ねてきて、肝心の話ができなくなっちゃう。土地の所有権や、犬の善し悪しに話がとんで、口論になってしまうって、喜劇。
なのに面白くない……パワーはあるんだけど滑ってしまってる。
そこで、台詞をしゃべっていない役者に注目……。
あ、そうか……分かっちゃった。
相手が、怒らせるような台詞を言う前に、もう怒った顔になっている。
我慢して聞いている言葉の間に息が乱れていない。
はっきり言って、台詞を聞いていない。動きも大きいんだけど、気持ちが出来ていないから、ただ大げさなだけ。
なんで、あんなに出来の違う作品を並べたんだろう。まるで金賞と佳作の違いみたいに……と思ったら、自分の佳作が思い出された。






2015年08月28日 Posted byfeirisnge at 12:28 │Comments(0)narrow

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